現在、日本理学療法士協会に登録している理学療法士の数は12万人を超えています。また、理学療法士国家試験を経て毎年1万人以上の理学療法士が誕生しています。右肩上がりに増える理学療法士ですが、国家試験や仕事内容はどのような難易度でしょうか?難易度をキーワードに、様々な視点から理学療法士の難易度をみていきましょう。
目次
理学療法士養成校に入学する難易度
理学療法士になるためには、理学療法士の養成校に入学し、理学療法についてのカリキュラムを修了する必要があります。理学療法士養成校は、専門学校と大学を合わせて276校あり、総定員は14,444名です。専門学校や大学の偏差値について、高い所は70を超えており、医学部と同様のレベルと言っても過言ではありません。
入学後は、解剖学や生理学、運動学や理学療法学など、理学療法を行うために必要である膨大な知識を学ぶことになります。中学や高校で習わなかった専門的な分野が多く、頭を悩ますこともあるでしょう。偏差値に捕らわれず「理学療法士になる」という強い気持ちをもって養成校でしっかりと学びましょう。
理学療法士国家試験の難易度
理学療法士国家試験は毎年2月に実施されます。理学療法士国家試験の試験問題は、一般問題と実地問題の2種類に分かれています。一般問題は160問、実地問題は40問、計200問です。午前と午後に100問ずつを2時間40分かけて解答します。問題数も多く、回答時間も長く設定されており、集中力が必要な試験です。理学療法士国家試験の過去5年の合格率は、82.8%であり、多々ある国家資格の合格率と比較すると、合格しやすいイメージを持つでしょう。 しかし、受験者は養成校で3年以上しっかりと知識を学び、たゆまぬ努力を続けた人だけであり、学んでいても5人に1人は不合格になっていると考えれば、甘くみてはいけないでしょう。
理学療法士の資格の難易度
理学療法士国家試験に合格すると、晴れて理学療法士になれます。しかし、理学療法士になることがゴールではなく、理学療法士になった後も、知識を深めていく必要があります。国家試験に合格すると、ほとんどの理学療法士が日本理学療法士協会に登録し、卒後教育を受けます。新人理学療法士は、協会が指定した15単位の新人教育プログラムを受講します。
新人教育プログラム修了後、さらに専門性を高めるために、認定理学療法士と専門理学療法士という資格が用意されています。国家試験に合格し理学療法士になったとしても、その後も理学療法の質の向上が常に求められます。また、医療や理学療法は常に進歩しており、新たな知見の獲得も必要です。資格を得たところで終わらない点が、理学療法士の難しく大変なところだと思いますが、一方で、面白いところであると言えるでしょう。
<2022年から変わる理学療法士の卒後教育>
先ほど説明した卒後教育ですが、2022年4月よりリニューアルします。新しい制度の中では、今まで15単位だった新人教育プログラムが廃止され、5年をかけて150時間以上の研修と実地経験を積むことで、登録理学療法士として認定されます。登録理学療法士になった後も、理学療法の専門職の質を保証するために、5年ごとの更新制が取り入れられます。卒後教育の変化により、自己研鑽の継続がより求められることになりました。資格を維持する難易度が上がりましたが、一方で理学療法の質を高め保障されることに繋がります。
理学療法士の仕事内容の難易度
それでは、理学療法士の日々の仕事の難しさとはいったい何でしょうか?まず、勉強が必要であることです。理学療法の対象となる方の状態は、一人ひとり異なるものであり、それぞれにあった理学療法を提供しなくてはいけません。分からない症状や現象を解決するために、理学療法士は日々教科書や論文などで勉強をしています。
さらに、医療や理学療法は日々変化し進歩しており、治療には新たな知見も必要です。また、理学療法士は自分自身の身体が資本です。患者様や利用者様に歩行介助したり、体に触れ治療を行います。介助や治療の方法も最初は難しく練習が必要です。さらに、1日に何人もの人を治療するので体力も必要です。そして意外と難しいのは、コミュニケーションです。対象者との会話だけでなく、多職種のスタッフとコミュニケーションをとる場面もあります。その場に応じたコミュニケーション能力が必要になります。
まとめ
難易度をキーワードに理学療法士の資格や仕事を紹介しました。「難しそう」という印象を持ってしまうかもしれないですが、理学療法士は、人の身体を治療する専門職です。安全で信頼できる理学療法を行うため、養成校での膨大な勉強や、難しい国家資格、卒後学習が用意されています。 「悩み、苦労した分だけ、必ず目の前の患者様や利用者さんの笑顔をみることができる」そんなやりがいがあるお仕事です。興味がある方は、理学療法士を目指してみてはいかがでしょうか。